愛憎を込めて毒を撃つ

あらすじ・人物紹介

【あらすじ】

保育士の新村里乃は、夫の和寿とのレスに悩んでいる。
子どもが好きで保育士になったのに、妊活をするどころか二年もレス。
和寿も子どもを望んでいたはずだったのだが、妊活の話をしたのを機に夫婦生活がなくなったのだ。
エリートの和寿との生活は安定しており、夫婦仲も悪くはない。
ただ、義母からも子どもを催促され、自身は子どもが欲しいため、焦燥感を抱いている。
そんなとき、高校の同窓会で再会した元カレ・潤から「里乃の旦那と俺の妻が不倫してる」と聞かされ、和寿が潤の妻の麗佳とホテルに入っていく現場に連れて行かれる。
和寿と麗佳は、数ヶ月前から不倫関係にあったのだ。
里乃は和寿への愛情を抱えたまま嫌悪感や憎しみを抱き、潤とはサレ妻・サレ夫という関係性から頻繁に会うようになっていくのだった。



【人物紹介】

新村里乃(にいむらりの)(35) 主人公

認可保育園『ひまわり保育園』保育士 パート勤務(月水金・9~17時のシフト)
可愛い系の顔立ちで、癒し系の雰囲気、セミロングの茶髪。
自分の意見を強く主張するのは苦手だけれど、ここぞというときには筋が通っていて、しっかりと芯がある。
28歳で出会った和寿と一年半交際して30歳で結婚し、今は結婚五年目。
子どもが好きで保育士になったが、結婚するときに専業主婦を希望した和寿と相談した末、パート勤務で保育士を続けることに。
年齢による焦りから妊活したいが、和寿とは二年ほど前からセックスレス。
保育士という仕事が天職だと思っていたほど子どもが好きなのに、最近は職場で子どもたちと触れ合うのがつらく感じるようになり、自己嫌悪に陥ることも。
エリートの夫と結婚した里乃を、同僚や友人たちは羨ましがっているが、里乃自身は焦燥感でいっぱいだった。


新村和寿(にいむらかずとし)(38) 里乃の夫

国内大手金融機関『四ツ谷堂(よつやどう)銀行』本社勤務 営業二課部長
銀縁フレームの眼鏡をかけたインテリ風の外見。
物静かで里乃には優しいが、仕事ができ、プライドが高く頑固なところも。
仕事一筋だったが、里乃の可愛らしく柔らかい雰囲気に惹かれて口説き、結婚へ。
結婚前に里乃とともに受けたブライダルチェックで『造精機能障害』による男性不妊症だと知るが、里乃と別れたくないという自分の気持ちを優先してしまい、里乃には隠したまま結婚へ。
子ども好きな里乃と結婚したのに自分には子どもを作れない……という罪悪感がある。
仲良く暮らしていたが、二年前に里乃から妊活の話を切り出されたのを機に、改めて自身が男性不妊症であること自覚させられてしまう。
そのせいでEDになるが、里乃にはこのことも言えない。
ある日、行きつけの喫茶店に来ていた麗佳と急接近し、不倫関係に。


氷室潤(ひむろじゅん)(35) 里乃の元カレ・麗佳の夫

大手企業『株式会社ワジマ飲料』システムエンジニア部 課長
整った顔立ち、ビジネスショートのダークブラウンの髪。
端正な容姿に加え、コミュニケーション能力が高く、クラスの人気者タイプ。
里乃とはお互いに初めての交際相手で、ファーストキスと初体験の相手でもあったが、大学時代にすれ違いが重なり別れることに。
その後は恋人がいたが、心のどこかで里乃のことが忘れられなかった。
しかし、派遣社員としてワジマ飲料に配属された麗佳から猛アプローチを受け、素直で裏表がない雰囲気を好ましく思って交際に至り、三年付き合った末に結婚へ。
麗佳との交際も結婚生活も順調だったはずだが、麗佳の行動に違和感を覚えて興信所を使って調べたところ、麗佳が不倫している証拠が出てくる。
不倫相手の和寿のことを調べるうちに、里乃の夫だということも知る。


氷室麗佳(ひむろれいか)(29) 潤の妻・和寿の不倫相手

アクセサリー類のハンドメイド作家(フリーランス)
綺麗系の顔立ち、明るめのブラウンのボブヘア。
美人ではっきりと物を言うため誤解されやすく、派遣社員時代は孤立しがちだったが、裏表がなく素直とも言える。
23歳のときに配属されたワジマ飲料で出会った潤に一目惚れして半年以上猛アタックし、24歳で交際開始、27歳のとき(二年前)にようやく結婚に漕ぎつける。
結婚を機に趣味だったハンドメイドを本業にして家で過ごすようになったせいか、潤自身に大きな不満はないが、日々の生活をつまらなく感じ始める。
子どもを望む潤に反し、自身は子どもは好きではないため欲しくない。
そういった価値観の違いや、潤の仕事が忙しいことに少しずつ不満を覚えていく。
そんなとき、行きつけの喫茶店でよく見かけていた和寿に惹かれ、自ら誘惑した末に不倫関係に。

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