色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ
 荷物をまとめ、テイリーに案内されてやって来たのは立派なお屋敷だった。
「でっかぁ…」
 うちの5倍はあるお屋敷に驚いていると。
 お手伝いさん達が、屋敷から出てきた。
「まあまあ、素敵なお嬢様ですこと」
 と言いながらも50代のお手伝いさんは笑いを噛み殺しているのがわかる。
 ハイハイ、どうせ顔は泣いてぐちゃぐちゃですよ。

「この人のお世話をよろしく。当分、泊まって行くから」
 そう言ってテイリーはいなくなる。
 口調からして、ここはテイリーの屋敷なのだろうか?

「坊ちゃんが女性を連れて来るのは初めてですわ」
 お手伝いさんが面白そうに言ってくる。
 案内されたバスルーム。
「あの、ここってテイリー…様のおうちですか?」
 おそるおそる質問する。
「いえ、ここは別宅の一つですよ」
 とあっさりと言われた。
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