子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 え……。連れ添っての出勤は。と戸惑うも人目など意に介さない彼は「これから毎朝こうしよう」などとご満悦だ。

 車は私たち夫婦を乗せて走り出す。

「でも、どうなんでしょう? オフィスラブは誰にも気づかれないようにというのが鉄則じゃないですか?」

「違うだろ? 公私混同しなければなにも問題ない」

 これだ。私にだけせっせと飴ちゃんやチョコレートをくれる人がなにを言うんだか。

「それに俺たちは夫婦だぞ? 隠す方が変に決まっている」

 はいはい、そうですか。

 あきらめて通りに視線を向け溜め息をつく。

 梅雨の晴れ間の夏空が綺麗だ。

「明日は有休とって検診に行くんだろう? 俺も行くぞ」

「え、休むの?」

「有休が取り足りないそうだからな。心配ない。検診が終わったら俺は会社に戻るから」

 指先で頬をつつかれた。

「ありがとう」

「おう。素直ですよろしい」

 クスッと笑って肩を寄せ合った。

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