俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
 気まずそうな日菜子の表情で善は察したのだろう。

「もしかして俺がほかの女と会ってたと疑った?」

 答えないでいると彼は声を立てて笑い出す。

「残念ながら密会の相手は実の母親だ。……なるほどね。結婚式の夜に急に俺の女関係がどうこう言い出したのはそれが原因だったのか」

(私の思い込みってことごとく的外れだな……)

 急に恥ずかしくなって、日菜子の声は小さくなる。

「ごめんなさい。私、これまで自分は冷めた性格だと思っていたんですけど……むしろ、ものすごく嫉妬深いのかもしれないです」

 そう言うと、善はますます楽しそうに笑う。

「日菜子のヤキモチは大歓迎だ。そこに関しては俺も負けてないしな」
「え?」
「白状すると……今夜の日菜子があまりにもかわいいから、俺も飲み会に参加すればよかったと少し後悔してる。俺のいないところで魅力を振りまかれるのは心配だ」

 善がヤキモチを焼いてくれるのは、くすぐったくて幸せだ。もし、彼も同じように思ってくれているならうれしいなと日菜子は顔をほころばせる。

「あぁ、もう。そういう顔は俺以外には見せるなよ」

 困ったような顔をしている彼に告げる。

「善さん。……大好きです」

 驚きに見開かれた彼の目が、ゆっくりと細められる。

「俺も。日菜子を愛してる」
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