俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
「会わなくてもわかります。絶対に気に入ることはないから!」
両親と日菜子は無言でにらみ合う。
英一は飴がダメならとばかりに、今度はちょっと強気に出た。
「俺たちは転職もひとり暮らしも承諾した。日菜子だって、ひとつくらいこっちの要望を聞いてくれても……」
「縁談以外の頼みなら、なんでも聞くわ。だからっ」
「この縁談、重要な取引先からの紹介なんだ。急なキャンセルを先方がどう思うか……そうなったら日々がんばってくれている社員たちに申し訳が立たないなぁ」
「――社員のことを出すのは卑怯よ」
「なんとでも言ってくれ」
いつだって日菜子に甘い彼がここまで強硬な態度に出るのは珍しい。よほど重要な相手で断れない縁談だったのかもしれない。
日菜子は大きくため息をついた。
「わかりました。お茶はします。でも、それだけだからね」
その返事に英一は顔を輝かせた。
「ありがとう、日菜子! まずはそれで十分だから」
「意気投合する可能性だってゼロではないでしょう。そうなったらいいわよね」
蓉子もウキウキとうれしそうだ。
「その可能性はゼロに近いと思うけど……」
「そんなネガティブなこと言わないの! そろそろ、日菜子にも運命の恋が訪れる頃だとお母さんは思ってるからね」
蓉子の心の声が聞こえてくるようだ。
『もういいかげんにあの件は忘れないなさい』
きっとそう言いたいのだろう。
(別に、あの人を引きずっているいるわけじゃない)
両親と日菜子は無言でにらみ合う。
英一は飴がダメならとばかりに、今度はちょっと強気に出た。
「俺たちは転職もひとり暮らしも承諾した。日菜子だって、ひとつくらいこっちの要望を聞いてくれても……」
「縁談以外の頼みなら、なんでも聞くわ。だからっ」
「この縁談、重要な取引先からの紹介なんだ。急なキャンセルを先方がどう思うか……そうなったら日々がんばってくれている社員たちに申し訳が立たないなぁ」
「――社員のことを出すのは卑怯よ」
「なんとでも言ってくれ」
いつだって日菜子に甘い彼がここまで強硬な態度に出るのは珍しい。よほど重要な相手で断れない縁談だったのかもしれない。
日菜子は大きくため息をついた。
「わかりました。お茶はします。でも、それだけだからね」
その返事に英一は顔を輝かせた。
「ありがとう、日菜子! まずはそれで十分だから」
「意気投合する可能性だってゼロではないでしょう。そうなったらいいわよね」
蓉子もウキウキとうれしそうだ。
「その可能性はゼロに近いと思うけど……」
「そんなネガティブなこと言わないの! そろそろ、日菜子にも運命の恋が訪れる頃だとお母さんは思ってるからね」
蓉子の心の声が聞こえてくるようだ。
『もういいかげんにあの件は忘れないなさい』
きっとそう言いたいのだろう。
(別に、あの人を引きずっているいるわけじゃない)