魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
伏し目がちな目元はやけに雰囲気があって、意思とは関係なしに惹きつけられる。


――まだ信じられない。
私、本当にこの人と……。


昨夜、誰かの代わりじゃなく私を抱きたいと言った彼に、不覚にも心を揺さぶられた。
神凪さん自身は、『一度寝たぐらいで彼女面するな』とか、最低中の最低な言い方をしそうな男。
なのに、『俺のものになれ』だなんて。
――本当に、本気?


この期に及んで、頭ではまだ疑ってかかる自分がいる。
だけど、他でもない私自身が、私の身体が、彼の本気を受け取ってしまった。
だから私も、あんな、あんなに……。
自分の思考に導かれ、目眩く一夜のあれこれがリアルに蘇り、カッと顔が茹だる。


「……っ」


私は慌てて両手を頬に当てて俯いた。
あたふたした気配が伝わったのか、神凪さんがこちらを一瞥した。


「なにバタバタしてるんだ、お前」


腕組みしながら訝しげにツッコまれ、グッと言葉をのむ。
昨夜から一転。
神凪さんは、いつもののらりくらりと飄々とした態度だ。
まっすぐ顔が見られないほど意識してるのは私だけ。
……なんか、悔しい。
返事もせずにそっぽを向くと、視界の隅っこに神凪さんが首を捻る様が映り込んだ。
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