病める時も健やかなる時も、その溺愛はまやかし~死に戻りの花嫁と聖杯の騎士

エピローグ

 ギストヴァルトの黒い森の奥、ぽっかりと煌めく紺青の湖の畔、朽ち果てた廃墟の上に、新しい城館が建てられた。
 帝国の東の果てを治めるブロムベルク辺境伯家の、最果ての別邸として。

 もとは、精霊王との契約の上に作られた神聖王国の王城のあった場所。地下の秘密の祭壇には、精霊王との契約の証である、聖杯が安置されている。王家の血筋の者以外、その部屋に至る階段を開くことはできず、また城は聖杯の騎士の結界に密かに守られている。
 ――そう、ユードは言った。
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