先生と私の三ヶ月
食事をしながら、流星君が真奈美さんと江の島に行った時の話を楽しそうにした。洞窟に入ったんだよ、それで竜がいたんだよとクリクリの大きな目を輝かせて話す姿が可愛らしい。もう来年は小学校に上がるそうだ。流星君を見ていたら、文君を思い出した。文君とは音大生の時に知り合った。可愛い子だった。最後に会ったのは純ちゃんと結婚した年だった。次の年も会えると思っていたのに、まさかあんな事になるとは……。
「葉月さんはご結婚しているの?」
真奈美さんの声にハッとした。
「あ、はい。5年になります。子どもはいなくて主人と二人だけです」
「住み込みで働いていてご主人は心配していないの?」
「10月まで上海に出張中なので問題ないです」
「ご主人が帰って来たあとは?」
「帰って来たあと……?」
「そうよ。10月からは通いなの?」
「えーと、契約は9月30日で終わりですから」
「契約更新はないの?」
真奈美さんの言葉に心が揺れた。
契約更新……。そんな事考えた事もなかった。
「真奈美、余計な口を挟むな」
先生がたしなめるように言った。
「だって、大事な事でしょう? お兄ちゃん、こんなに美味しいご飯作ってくれる人、そう簡単に見つからないよ。契約更新しなよ」
先生がため息をついて立ち上がった。それから「ごちそうさま」と言って、ダイニングを出て行った。何か気に障る事があったんだろうか。
「葉月さんはご結婚しているの?」
真奈美さんの声にハッとした。
「あ、はい。5年になります。子どもはいなくて主人と二人だけです」
「住み込みで働いていてご主人は心配していないの?」
「10月まで上海に出張中なので問題ないです」
「ご主人が帰って来たあとは?」
「帰って来たあと……?」
「そうよ。10月からは通いなの?」
「えーと、契約は9月30日で終わりですから」
「契約更新はないの?」
真奈美さんの言葉に心が揺れた。
契約更新……。そんな事考えた事もなかった。
「真奈美、余計な口を挟むな」
先生がたしなめるように言った。
「だって、大事な事でしょう? お兄ちゃん、こんなに美味しいご飯作ってくれる人、そう簡単に見つからないよ。契約更新しなよ」
先生がため息をついて立ち上がった。それから「ごちそうさま」と言って、ダイニングを出て行った。何か気に障る事があったんだろうか。