先生と私の三ヶ月

2話  振り回されています。

 純ちゃん、メールありがとう!
 
 純ちゃんからメールをもらえてとっても嬉しかったよ。
 
 お仕事、忙しそうだね。ご飯はちゃんと食べていますか? 会社の人とは上手くやっていますか? 上海は日本の夏よりも暑いですか?

 またメールちょうだいね。
 本当は電話も欲しいけど、我慢します。

 私、少しはしっかりしたでしょ?(笑)

 純ちゃん、私、妻として純ちゃんを支えられるようになるからね。その為の修行だと思って前回のメールで報告した通り、小説家の望月かおる先生のアシスタントをする事になりました。

 期間は7月1日から9月30日までの三ヶ月間になります。その間は先生の家で住み込みで働く事になりました。先生は男性ですが、私をただの雑用係としてしか見ていないので心配はいりません。

 お仕事の内容は先生の食事を作ったり、お家の掃除をしたり、小説の資料を探しに行ったり、取材に同行したりなどです。

 早いもので横浜の先生の家に来て今日で一週間になります。
 先生の家はとても広くて、掃除が大変ですが、キッチンが広いのは嬉しいです。
 朝、昼、晩と先生の為にご飯を作るのが楽しいです。
 今朝は純ちゃんの好物のレーズンパンを作りました。望月先生にとても好評でした。明日の朝はクロワッサンを焼こうと思っています。

 ちょっと気難しい所もありますが、先生はいい人です。
 夜中に女性を一人でコンビニへ行かせるような人ではありませんので心配しないでね。
――――――――――――
 
 スマホでメールを書いていると、いきなり通話画面に切り替わった。電話して来たのは望月先生……。

 時刻は午前1時半。

 やっぱり今夜も来たか。
 深呼吸をしてから、通話ボタンをタップした。

「葉月です」
「ガリ子。ドーソンで売っている苺のロールケーキが食べたい」
「ドーソンですか」
 先生の家から2キロ離れた所にある一番遠いコンビニだ。

「苺のロールケーキだぞ。他の味はダメだからな」
 それだけ言うと電話は切れた。

 眠くなりかけた瞼をこすって、ベッドから立ち上がる。
 こうして深夜のお使いに行くのも今日で7日目。
 つまり、この家に来てから毎日という事になる。

 さすがに少し疲れた。
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