先生と私の三ヶ月
 四月某日。朝から青空が広がっていた。

 今日は真奈美さんと黒田さんの結婚式。ウェディングドレスに着がえた真奈美さんは本当に美しく、お人形さんのようだった。
 そしてその隣のグレーのフロックコート姿の黒田さん。結婚式の為に少し痩せたらしいけど、美女と野獣という言葉がしっくりくる。まあ、真奈美さんが美し過ぎるから仕方ない。
 だけど、黒田さん、長年の片思いが実って本当に良かった。流星君も黒田さんの事をくろちゃんパパと呼んで本当のパパのように慕っているし。
 先生もそんな真奈美さんたちを見て嬉しそう。

 ガーデンパーティーには黒田さんと真奈美さんと親しい50名の招待客が出席していた。
 その中には有名な作家先生が何人もいて、さすが黒田さんと真奈美さんだと感心した。
 パーティーは二時間程で終わり、私は今、パーティードレスのまま片付けに奔走している。業者に任せておけばいいと先生は言うけど、つい体が動いてしまう。

「今日子」
 片付けをしていると、タキシード姿の先生に呼び止められた。

「ちょっとこっち」
 先生に連れて来られたのはサンルームだった。
 いつもと違って赤い絨毯が敷かれ、色とりどりの薔薇がサンルーム中に飾られていた。結婚式の演出にこんなのあったっけ?
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