先生と私の三ヶ月
「この薔薇どうしたんですか?」
 先生がにんまりと笑った。

「俺が今日子の為に用意した」
「えっ」
「今日子、そこに座ってくれ」
 薔薇で飾った藤の長いすを勧められ、よくわからないまま腰を下ろした。
 すると先生がいきなり、お姫様に忠誠を誓う騎士のように私の前に片膝をついた。

 前にも同じ事をされた事がある。あれはパリのホテルで恋人になって欲しいと頼まれた時だった。

 まさか、また何か変な頼み事をされるのでは……。
 思わず身構える。

「先生、俺の恋人になってくれとかってまた言うんですか?」
 先生が首を振った。

「今日子、俺の妻になってくれ」

 え……!

 差し出されたのは大きなダイヤがついた指輪だった。

「ぷ、プロボーズですか?」 
「そうだ。今日子、俺と結婚して欲しい。絶対に隠し事はしないし、泣かせる事もしない。ずっと今日子と一緒にいたいんだ」

 まさか今日、先生から結婚を申し込まれるなんて。
 瞼の奥が熱くなって、目がうるうるしてくる。

「かおるさん、私、バツイチですよ。いいの?」
「俺もバツイチだ。だからこそ今日子と結婚したい。今度の結婚で俺は最後にする」
「私も最後の結婚にします」
「それは俺と結婚してくれるという事か?」
「はい」
 頷くと先生が薬指に指輪をはめてくれた。
 それから、唇が重なり熱いキスを受けた。

 胸いっぱいの幸せを感じる。
 私はきっと世界一幸せな小説家望月かおるのファンだ。

 終わり
< 304 / 304 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:13

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

さよならの勇気~お隣さんはクールで意地悪な産業医~
コハラ/著

総文字数/31,994

恋愛(オフィスラブ)42ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
初めての彼・石黒と同棲する為に家賃の高いマンションに引っ越した一条綾乃。 お隣には会社で顔を合わせる産業医の森沢誠二が住んでいた。 同棲すると言いながら、中々入居しない石黒を一人で家賃を払いながら待つ綾乃は、 高い家賃を払う為に近所のファミレスでも働き始める。 そんな綾乃に森沢が「不誠実な彼とは別れた方がいい」と助言する。 最初は森沢の助言に怒っていた綾乃だったが、段々、石黒の本性が見えて来る。だが、一人になるのが怖い綾乃は石黒と別れられない。 はたして綾乃は不誠実な彼、石黒と別れられるのか? そして、森沢との関係はどうなる? 登場人物 一条綾乃(27) 大手食品メーカーハッピーフーズ人事部労務担当の地味なOL × 森沢誠二(32) 意地悪でクールなハッピーフーズ産業医 ―――――――――― 目を留めていただきありがとうございます! 2025年8月21日完結。
「逃げていいんだよ」と彼は言ってくれた。
コハラ/著

総文字数/99,618

恋愛(純愛)178ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
仕事に押しつぶされそうになった時、彼女と彼は出会った。 元デザイン制作会社社員 現在引っ越し会社のアルバイト 藍沢美桜(28) × スランプ中の人気脚本家 現在シナリオ講座の講師 小早川春希(32) 「逃げていいんだよ」  彼の言葉に勇気をもらい、逃げ出した美桜だったが、  将来が見えず漠然とした不安の中で日々を過ごしていた。  そんなある日、知人に誘われて行ったシナリオ講座で、美桜の背中を押してくれた彼と再会するのだった。  しかし、彼は美桜との出会いを覚えていなかった。  美桜の恋はどうなる? 完結 2025.5.23
結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
「僕と恋愛感情抜きの安全な結婚をしませんか?」 再会した大学の先生からの突然のプロポーズ。 父の見合い話から逃げる桜子にとっても都合のいい提案だった。 しかし――。 「僕を好きにならない女性と結婚したいんです」 先生が必要なのは自分を嫌う女性だった。 表向きは先生が苦手だと言っていた桜子は本当は先生の事が好きだった。 先生を好きだという気持ちがバレたら終わってしまう結婚。だから断った。 でも、先生は桜子を諦めない。 「九条さんが承諾してくれるまでプロポーズしますから」 先生に素直に恋心を伝えられない九条桜子の恋の行方は? 【登場人物】 素直になれない、こじらせ銀行員 九条桜子(26) × 強引な大学准教授 (実は北沢不動産御曹司) 北沢海人(36) ―――――――――― 3月15日完結。 おかげ様で8月に大改稿バージョンがマカロン文庫から出ます! ~憧れの街ベリが丘~恋愛小説コンテスト 優秀賞受賞! ありがとうございます!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop