先生と私の三ヶ月
「次はタマネギ切る?」
 流星君の言葉にハッとした。いつの間にか流星君はニンジンを切り終えていた。

「そうだね。タマネギ切ろう」
 流星君と一緒に玉ねぎを切った。それから、フライパンに油を敷いてくし切りにした玉ねぎを炒め始める。

「やりたいの?」
 熱い視線を流星君から感じた。

「うん」
 元気よく流星君が頷いた。
 何でも興味津々って感じで可愛い。流星君はいろんな事が新鮮に見えるんだろうな。

「じゃあ、お願いします」
 踏み台をガスコロンの前に置いて、その上に乗って流星君はフライパンの前に立った。流星君と一緒に木べらを持って、フライパンの中の玉ねぎを炒めると、流星君が嬉しそうな顔をする。本当、楽しそうないい表情をするな。

 あの時の子どもが無事に育っていたら、こんな風に一緒に料理する事もあったのだろうか。

「ガリ子、泣いているの?」
 心配そうに流星君がこっちを見た。
 いけない。仕事中だ。感傷に浸っている場合じゃない。

「玉ねぎから辛い空気が出ていて、目が痛くなっちゃった。心配してくれてありがとう。流星君は大丈夫?」

「うん、平気。僕、ママを守らないといけないから泣かないんだよ。ママね、時々一人で泣いているんだ。だから、僕が守らないと」

 玉ねぎを炒めている流星君の横顔が強がっているように見える。家ではママに甘えられているんだうろか? 本当はお父さんとお母さんに一緒にいて欲しいとは思っていないだろか。

 私なんかが口を挟む事ではないと思うけど、心配になる。
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