先生と私の三ヶ月
「ママはお仕事忙しいの?」
「うん。くろちゃんと同じ集学館で働いている」

 くろちゃんと同じ集学館って事は……。

「くろちゃんって、黒田さん?」
「そうだよ。くろちゃんがママに仕事をみつけてくれたんだ。ママね、校正っていうお仕事しているんだ。カッコいいお仕事なんだよ。えらい作家の原稿もママが違うって言うと書き直させるんだって。かおるもママに原稿チェックされるのが怖いって言っていた」
 流星君の目が輝いている。ママの事を尊敬しているんだな。

「ママ、カッコイイお仕事しているんだね」
「うん、カッコイイよ。かおるも俺の妹はカッコイイって言っていた」
 えっ! 俺の妹……?
「妹? それって流星君の……ママが?」
「ガリ子、知らないの? かおるはママのお兄ちゃんだよ」
「つまり、望月先生は流星くんの伯父さんって事なのかな?」
「そうだよ」
 やっと望月先生と流星君の関係がわかった。
 そっか。伯父さんなのか。

 なんかほっとした。……って、なんでほっとしているんだろう。別に先生に子どもがいるかどうかなんて関係ないのに。

「パパはね、ママとりこんして外国に行っちゃったんだ」
 意外な言葉がまた流星君の口から飛び出た。
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