夜明けを何度でもきみと 〜整形外科医の甘やかな情愛〜

5


 初めてのお泊まりデートの日は朝から曇天が広がっていた。午前は外来診療を行い、午後はそれぞれ病棟での対応と外来の片付けに追われた。

 例の事があって二人の関係が公になったため、樫井からは『菜胡はいずれ異動になるだろう』と言われていたが、異動もなくあっという間に一年が経った。菜胡にとっては五年目の整形外科外来だ。

 寮は取り壊され更地になった。跡地は地域住民も利用ができる広場に決まったと大原が言っていた。防災も兼ねた多機能な広場で、病院利用者以外でも時間内ならば立ち入ることができる。幼稚園や保育園のお迎えのバスの待合なども行えたらいいと計画されているうえ、病院の両脇は墓地だから、お参りに来た人や見舞いに訪れた者、また患者の運動の場にもなるだろうとそういう案が出てのことで、現在は整地作業が行われていた。古めかしいコンクリート建ての寮が懐かしいとは思わないが、四年を過ごした場所が消えたのは、ほんの少し心寂しくもあった。
< 80 / 89 >

この作品をシェア

pagetop