あなたの妻になりたい
「あなたは優しいのね。あなたになら、何でも言えそう。私ね、本当にランバルト様のことが好きなの。仮妻ではなくて本当の妻になりたいと思っているの。だけど、無理そうね。あの方の妻になるには子供を授からなければならないけれど、子供を授かるようなことをしていないのだから」
 次に子竜は、マイリスの頬をペロっと舐めた。

「あと一年で、私はここを出ていくわ。そのとき、あなたも一緒に連れて行けたらいいのに」

 飛竜はこの国の神獣だ。連れていくことなどできないことをわかっていて、マイリスはそう口にした。だけど、やはり飛竜は好きだった。あの海岸で見かけた時。夕焼けの空を舞う時。孤独でありながら、どこか愛を感じる飛竜。

「こんなに、誰かと喋ったのは久しぶり。ランちゃんは聞き上手さんなのね」
 そこでチュッと子竜の頭に唇を寄せた。
「たくさん、お話をしたら眠くなっちゃった。あなたを抱っこしながら眠ってもいいかしら?」
「キゥキゥ」
 マイリスは静かに微笑んで、子竜を抱き締めたまま寝台へと潜り込んだ。
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