恋と、餃子と、年下男子

いいことと悪いこと

　金曜日を迎えた。本当なら、明後日の日曜日に圭人は家を出ていく予定だった。でもその日を待たずして、圭人は忽然と姿を消してしまった。
　私が拒絶したから、怒っちゃったのかな。それとも、何かトラブルに巻き込まれた……？　考えたってもう、どうしようもないのに。あの日からずっと、圭人のことばかり考えてしまう。こんなの、私らしくない。
　
　白衣を着て商品開発部の部屋へ入ると、ヤッシーが複雑な顔をして私の元へやって来た。
「おはよ、ヤッシー。早いね」
「モエモエ先輩……。あの、聞いてます？」
　珍しく敬語だ。なんか気持ち悪い。
「聞いてるって、何を？」
　そう言うと、あー、やっぱ聞いてないかー、あたしが言うのかー、と一人でブツブツ言っている。
「モエモエさんっ」
「わっ、びっくりした！　ナベさん、おはようございます」
「おはようございます。朝から申し訳ないのですが、少しお話ししたいことが……。今よろしいですか？」
　何となく、言いにくそうにしている。私は「もちろんです」と言ってナベさんの後をついて部屋を出た。ヤッシーと、今出社してきた久保君が、何故か心配そうな表情でこちらを見ている。……一体、どうしたんだろう？