ドアの向こうにいる君へ

彼のこと

 今日も弓道場で弓を引く。



 まだ入学式は終わっていないが私、響は弓道の特待生として練習に参加している。



 練習に参加し始めたのはつい最近で、未だ部に馴染めたとは言えない状況だ。



「よし。」



 的に矢が中る度に聞こえるこの声が中学の時よりいくらか大きいのを聞くと、強豪校に来たんだと実感する。



 休憩中、ふと外を見ると隣接する体育館の扉の窓から、練習しているバスケ部が目に入る。



 その中の1人に今日も目を奪われてしまった。



 高身長揃いのバスケ部の中でも背が高くて、余裕あるプレーをする彼。




 バスケをする姿が大人っぽく見えて、かっこいい。



 汗を拭う行動一つとっても、なんだか色気がある。



 きっと年上なんだろうなって思ってまた練習に戻る。




 こんな事を繰り返すのが、数少ない私の日課となりつつあった。



 こんなに人の事をかっこいいって思うのはいつぶりだろうか。



 中学に入ってからは弓道に出会って、ずっと弓道一筋だったから恋なんてしたことない。




 恋愛に関しては人の恋バナを聞いては騒いでいた部外者その1だった。





 相談する相手もおらず、なんだか心がモヤモヤする毎日だ。





 
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