笑顔が消える
修也1️⃣

彩代と話した翌日
俺は重い足取りで実家へと帰った。

昨夜は、一睡も出来なかった。
自分の馬鹿さ加減と情けなさに。

家の中を一部屋、一部屋見て回り
あのとき、あんな事があった
こんな事があった····と。
次々に思い出し
涙が溢れる。

長男、空也の部屋······
きちんと片付けられている。
本棚の本も順番通りに
生真面目な子だ。

初めての子供でどぎまぎしながら
彩代と子育てをした。

いきなり大泣きしたり
ミルクを噴水のように吐いたり
なんだろう?なぜ?
と、彩代と手探りで子育てをした。

両親にも彩代のお義母さんにも
沢山助けて貰った。

長女、真代の部屋·····
可愛いい女の子らしい部屋だ。
壁の飾りや飾り棚の人形も可愛いい
人を助ける仕事がやりたいと
看護師を目指した。

男の空也と違い
真代は、子育てしやすかった。
もじもじしながら
スカートはいてたりして
とても可愛かった。

次男、星也の部屋·····
少し雑然としているが
トレーニング用のダンベルや道具が
置いてある。
体を作る勉強もしていた。

どんな大きな音の中でも
ぐっすり寝ている子で
将来大物になるのでは
と、彩代と笑った。

彩代の寝ていた部屋
······何も·····ない······
窓にカーテンがあるのみ。

布団をひいて寝ていたが
その布団すらない。
押入れも開けられて
風を通してくれている?

俺の疲れが取れないからと
別々に寝るようになったが
最初は、寂しくて
彩代の布団に潜り込んで
笑っていた。
身体を繋げなくても
抱き締めあって寝たり
手を繋いで寝たり

俺の為に
こんな殺風景の部屋で。

この五年
どんな気持で······
ここで過したのだろうか······

俺は、彩代のいた和室の真ん中に
座り込み、声を出して泣いた。

みっともなくても
涙を止める事が出来なかった。

あんな幸せの日々を
あんなに愛していた彩代を

俺は、忘れて美弥に
溺れてしまった。

幸せ過ぎて
周りが見えてなかったのだろうか?
彩代にも美弥にも
本当に取り返しのつかない事をした。

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