恋をするのに理由はいらない
「二人とも、仕事じゃないんだからさ。今日はあくまでもプライベートでしょ?」
クスクスと笑う戸田さんに、バツが悪くなり顔を顰めていると、松野さんは戸田さんに向いた。
「わかっております。直樹様」
彼女は堅い言葉遣いだが、少し照れたように言っている。
「だから、様じゃないって。さっきから言ってるよね? 沙希」
そんなことを言い合っている2人は、秘書と、その相手の兄と言う関係には見えなかった。そんな疑問に答えるように、戸田さんは口を開いた。
「彼女は僕の大学時代の後輩でね。いつのまにか弟の秘書になってたんだよ。おかげで色々聞けて助かってるけど」
「戸田さんには、個人情報とは何かって一から説明したほうがいいですかね?」
「厳しいなぁ、朝木君は。それより、そろそろ向かったほうがいいかもね? 2人で消えてたら困るでしょ?」
飄々と言われ、俺は無意識にネクタイを締め直す。
「絶対阻止します」
睨むように答えると、戸田さんはニッコリと笑った。
「そうこなくっちゃ」
楽しんでいるようなその顔に、マジでこの人、性格悪りぃな、と思いながらその背中のあとに続いた。
「すみません。朝木さん。匡樹様がご迷惑をおかけして」
少し後ろから、小さくそんな声が聞こえて歩調を緩める。
「松野さんが謝ることじゃ……」
「いえ。元は私の所為ですから……」
彼女は俯いたまま、そんなことを言った。
クスクスと笑う戸田さんに、バツが悪くなり顔を顰めていると、松野さんは戸田さんに向いた。
「わかっております。直樹様」
彼女は堅い言葉遣いだが、少し照れたように言っている。
「だから、様じゃないって。さっきから言ってるよね? 沙希」
そんなことを言い合っている2人は、秘書と、その相手の兄と言う関係には見えなかった。そんな疑問に答えるように、戸田さんは口を開いた。
「彼女は僕の大学時代の後輩でね。いつのまにか弟の秘書になってたんだよ。おかげで色々聞けて助かってるけど」
「戸田さんには、個人情報とは何かって一から説明したほうがいいですかね?」
「厳しいなぁ、朝木君は。それより、そろそろ向かったほうがいいかもね? 2人で消えてたら困るでしょ?」
飄々と言われ、俺は無意識にネクタイを締め直す。
「絶対阻止します」
睨むように答えると、戸田さんはニッコリと笑った。
「そうこなくっちゃ」
楽しんでいるようなその顔に、マジでこの人、性格悪りぃな、と思いながらその背中のあとに続いた。
「すみません。朝木さん。匡樹様がご迷惑をおかけして」
少し後ろから、小さくそんな声が聞こえて歩調を緩める。
「松野さんが謝ることじゃ……」
「いえ。元は私の所為ですから……」
彼女は俯いたまま、そんなことを言った。