破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「……なんで、ボールドウィンさんと別れたんだい?」

「とても、個人的な事情なので」

 出来るだけ、素っ気なくそう言った。

 もうこれ以上、私たち二人の関係に深入りして欲しくないという強い気持ちを楽しげな様子の彼女に察して欲しくて。

 でも、好奇心に目を輝かせたグウィネスには、それは無理な事のようだった。

「向こうは、もう……未練たらたらって、様子だったけど?」

「別れを告げたのは、あの彼自身です。自由な恋愛は、二人の同意によるものだと思いますし、私は彼の意志を尊重します」

 そろそろ出て行って欲しい事を示すように泥に塗れた白いシャツのボタンを外しつつ肩を竦めると、複雑な表情になったグウィネスはどうしてだか残念そうに言った。

「私も好き同士だけど、何かの事情で別れなければならない二人はよく見て来たけどね。だって、二人はまだ……」

「あのっ……もう、出て行って貰って良いですか? 早く泥を流したいので」

 ここはグウィネスの家だからと、ある程度の我慢をしていたけれど、もうこちらは限界だと眉を寄せた私はそう言った。

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