破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「ねえ、クレメント。私ね。付き合ってた時、貴方のこと本当に大好きだったわ。酷く嫌な終わり方ではあったけど、付き合っていた時は……すごく楽しかったもの」

 私が彼を見上げて、そう笑ったらクレメントは赤い目を細めた。

「……俺も。俺も、お前が好きだったよ。ディアーヌ。それに気がつくのが、本当に遅すぎた。俺はお前と別れたことを、これからずっと後悔し続けるだろうな……幸せになれ」

「言われなくても」

 そうして、私たちは二人で笑い合った。付き合っていた頃のように。

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