破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 他人行儀なさらっとした言葉は、私の胸に鋭く突き刺さるようだった。つい先ほどまで感情の見え難い無表情ながらも、彼なりに好意を見せて接してくれていたのに。

 ランスロットは、何も悪くないのは理解してはいる。

 職務遂行中に、ただ一人であの事態を対処して。不意を突かれて、仕掛けられた全てに対応出来なかったのは……仕方ないと思う。あの場に居た私は、痛いくらいにそれを理解していた。

 ただ、ランスロットの中での、私への恋愛感情が消えてしまっただけだ。一国民としては、国を支えるコンスタンス様とラウィーニアの二人に、何もなくて良かったと言える。

 ここからは呪術を受けた本人が居て、詳細を聞かせれば動揺させてしまうだけだという判断で、ランスロット本人は部屋の外に出されることになった。

 コンスタンス様から指示を受け礼儀正しく礼を取り去っていく彼に、私は何の言葉も出なかった。

「あれは、全く攻撃的なものではなかったから……子どもたちが傍に来ても、周囲の護衛たちには検知出来なかったと言うことか……リーズ。なんとかならないのか」

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