【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

3.Persuasion

 ヨハネス第2王子は、華やかで美しく、社交的な所が魅力的な王子である。


(いや、わたしがそう思ったんじゃなくて、他のご令嬢方がそう言ってたってだけなんだけど)


 いつぞやの夜会を思い返しながら、クララは小さくため息を吐く。

 人目を惹く色合いの服装、派手な装飾品の数々は全て、国民の税からまかなわれているというのに、さも当たり前といった様子でそれらを身に着ける。


(王族が品位を保つことは重要だけれど)


 何事も程々が良いとクララは思う。

 そんなヨハネスが婚約者候補に選んだのは、資産家令嬢、レイチェルだった。
 スチュアート家は莫大な資産を保有しているだけでなく、とにかく金策に長けている。そうして得たお金を、高価な服や宝石を買ったり、屋敷、領地を大きくするために使うのだ。
 金遣いの荒いヨハネスがスチュアート家と手を結んだ理由は、当然彼等の有する莫大な資産が目当てだ。

 けれど、ヨハネスが王位に立つことでスチュアート家が得られる見返りも相当に大きい。王族の縁戚になれば、大きな権力が得られるし、その分ビジネスチャンスも増えるのだ。


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