【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
【1章】王位継承戦と魅かれゆく心

6.王妃とのお茶会

 鼻腔を擽る爽やかな茶葉の香り。穏やかな春の陽気と庭園を彩る綺麗な花々に、クララはほっとため息を吐く。


「楽にして頂戴ね。お仕事は大変でしょう?」


 ハッとして振り向けば、金色の髪の毛に青い瞳の美しい、気品あふれる貴婦人が優しく微笑んでいる。


「お気遣いありがとうございます、王妃様」


 クララはそう言って恭しく頭を垂れた。

 この国にいる王妃は3人。第1王子カールの母親、第2王子ヨハネスの母親。そして今クララが対峙している、フリードの母親だ。

 まだ二十代と言っても通用する若さと美しさだが、実年齢は30歳を超えているらしい。


(王室御用達の化粧品や美容グッズってやっぱり、市井に出回るものとは質が違うのかもしれないわね)


 クララはボンヤリとそんなことを考えた。


「ごめんなさいね、呼び立ててしまって」

「いえ、とんでもございません。光栄です」


 茶の準備を終えると、侍女たちはクララと王妃を二人残してさがっていく。予め王妃から二人きりにするよう言付かっていたのだろう。

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