【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「殿下に相談もなしに、勝手に……あんな宣戦布告みたいなこと言って」


 クララがそう言って首を傾げると、コーエンは目を丸くした。


「なんて、わたしは正直スカッとしたんだけど」


 気恥ずかしさからコーエンを直視することができない。けれど、どうしても伝えたかったことだ。

 コーエンはプっと小さく吹き出しながら、クララの頭を無遠慮に撫でた。知らず頬に熱が集まる。心臓がドキドキと鳴り響いた。


「よし、そろそろ戻るか。クララ――――これから忙しくなるぞ」


 真っすぐにクララを捕らえる挑発的な笑み。それがこんなにも好ましく思える日が来るなんて、思ってもみなかった。

 身体がフワフワと浮かび上がる様な心地。血液が興奮で騒ぎ出す。何がこんなにもクララを駆り立てるのかは分からない。けれど、こんなにも何かを楽しみに思うのは初めてだった。


「はい!」


 クララは満面の笑みを浮かべると、力強く地面を蹴った。
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