【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
 クララの心臓はバクバク鳴り響いていた。冷や汗が背中を伝う。

 もしもフリードが王太子になれたら。クララは王太子妃になどならず、自由になれるかもしれない。想い描いた恋を求めて許される可能性がある。

 けれど、もしも他の王子が王太子になったら、もしも彼のパートナーに子ができなかったら――――――クララは間違いなく逃れることが出来ない。政略結婚も真っ青な強制的な婚姻と相成る。


「王妃様、ありがとうございます」


 クララはゆっくりと目を開けると、真っ直ぐに王妃を見つめた。
 そもそも、クララはフリード以外の王子を王位に就けるつもりはない。やるべきことがより明確になっただけだ。けれど、そのことが持つ意味はとても大きい。


「わたしがきっと、殿下を王太子にしてみせましょう」


 そう言って微笑むと、王妃は嬉しさと切なさの綯交ぜになった複雑な表情で笑った。
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