【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
(無理!あり得ないわ!)


 偉そうで無骨なカールも、贅沢好きで軽薄なヨハネスもごめんだ。クララの背筋を寒気が襲った。


「あんまりだわ!そんなことって……」

「酷いでしょう?私もショックだったわ。特に皇后さま――――陛下の元々の婚約者は気の毒でね。陛下ととても仲が良くて、愛し合っていらっしゃったから」


 泣き出しそうな表情で、王妃は笑った。

 他に思う人がいても、皇后のことを気の毒に思っていても、王妃には王妃の為すべきことがあった。それはきっと、身を裂くような想いだっただろう。


「だからね、あなたには私と同じような想いをしてほしくないの」


 王妃はクララの手を取ると、真剣な眼差しで訴えかける。


「もしもあなたが、フリードより他の2人の方が王としての資質があると思うなら、そちらを推して良い。けれど、そうでないのなら――――全力で二人を潰しなさい。それがあなた自身を救うことになるから」


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