【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

10.城外ミーティング

 割振りが決まってからも、クララの忙しい日々は続いた。

 楽団や彼等に演奏してもらう楽曲や演出の調整、衣装の手配等することは山ほどある。

 それに加え、当日に動いてくれる礼部の文官たちとの打ち合わせも並行して行っていくのだが、王子の割り当て毎に人員が割り振られているため、意思疎通が非常に難しかった。


(お料理の構成とか宴のコンセプトとか、きちんと擦り合わせたいのに)


 本来は全体の構成を決めてから、各々の仕事に取り掛かるべきなのだろう。

 けれど、フリードはともかく、カールとヨハネスは、誰かに合わせようという気が全くないらしい。
 クララも何度か交渉を試みたものの、全く効果が無かった。


「これじゃぁ共倒れまっしぐらだな」


 コーエンが苦笑を浮かべながら頭を掻く。クララはグッと眉間に皺を寄せた。


「でも、それじゃぁダメでしょ?」

「ああ。この間説明した通り、このままだと国に危険が及びかねない。統率が取れてないのもろバレだからな。それでも、カールあたりは『国の軍事力を見せつける良い機会だ』とか言い出しかねないけど」

「そんなのダメよ!こんなことで誰かが血を流すことになるなんて……」


 本来ならば避けられる筈の戦い。王家がバラバラなせいで、要らぬ争いが引き起こされるなんて、クララは絶対に嫌だった。


「まぁ落ち着けって。それを何とかするために、こうして俺たちが出掛けてるんだろ?」


 コーエンはそう言ってニヤリと笑った。

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