【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「っていうか……クララには俺がやったイヤリングがあるだろう?」


 コーエンはそう言って、そっとクララの耳に触れる。クララからは見えないけれど、彼女の耳元では緑色をした美しいエメラルドが、まるで熱を孕んだみたいに光り輝いているのだろう。


「俺の贈った宝石だけ身に着けてろよ」


 そう耳元で囁かれ、クララの身体が大きく跳ねる。

 いつものように、勝ち誇ったような笑顔だったらどんなに良かっただろう。今のコーエンは、まるで拗ねた子どものようだ。彼が本音を吐露していると錯覚してしまいそうになる。


「あっ、そうだ!ゴメン、コーエン」


 何とか空気を変えたくて、クララは唐突に話題を変える。


「ゴメンって何が?」

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