【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「カリーネさん。このワンピースなんか、どうですかね?」
 リンはハイケが籠に入れて持ってきた服の中から、長袖の藍色のワンピースを手にしている。
「ちょっと裾が長いようですが、そこはすぐにお直ししますから」
 カリーネが頷くよりも先に、リンはすぐに裁縫道具を持って来てワンピースの裾をあげる準備を始めている。

「よかったわ。肥やしが役に立つ日がきて。だけど、少し新しい服も必要でしょう? 今日、昼ご飯を食べてから買いにいってきたらどう?」

「ですが、今日は、修理依頼の魔導具がたくさんありますよね?」

「でしたら、私がカリーネさんに似合いそうな服を買ってきましょうか?」

 リンの申し出はカリーネにとっては非常に助かるものだった。そもそも、姉のリネーアと違って、カリーネは自分の着る物に対して無頓着である。着ることができればいい、というそのレベル。

「ですが、カリーネさんはこれからも成長すると思うんですよね。既製品でゆったりしたものを何着か見繕うという形でいいですか? あとは、ハイケさんの服を直しましょうね」

「カリーネにも成長期がやってきたのね」
 とハイケは笑っている。
「最近は、食欲も出てきたようですからね。これからまだまだ成長されますよ」

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