夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
思いがけない場所での再会
2週間後、家族で京子ちゃんの17回忌のためにお寺に向かった。
ご住職に挨拶をしていると扉が開き、入ってきた人の顔を見て思わず声を出してしまった。
「えっ。岡田部長。どうしてここに?」
驚いている私の横から母が声を掛ける。
「こんにちは。卓人さん。ちょうど私たちも着いたところなのよ」
「お母さん。なんで部長のこと知ってるの?えっ?どうして?」
私の頭の中はクエスチョンマークで溢れている。
「本当に覚えてないの?あなた、『たーくん』って呼んで懐いていたのに…」
「…たーくん?…えぇ、たーくんって岡田部長だったんですか!?」
「ずいぶんよそよそしいな、とは思っていたんだが、やはり気がついていなかったか」
ニヤリと笑われてしまい目を瞬かせ返事をした。
「はい」
なんだ…気がついていたなら教えてくれれば良かったのに…とは思うものの、どおりで私のことジッと見ていたはずだと妙に納得した。