寡黙なトキくんの甘い溺愛
「トキくん……ごめんね重いよね。降りるね」
「……」
もし、倉掛さんがさっきの林って男を好きになったら……付き合って、抱きしめあったり、キスしたり、もちろん――その先だって……。
「それは……嫌だな」
「え?」
俺の上から退こうとした倉掛さんの小さな体を、ギュッと抱きしめる。小さな体。同じ宿のお風呂を使っているから、今は俺と同じ石鹸の匂いがしている。
なんか……酔ってしまいそうだ。
この体勢に、雰囲気に。
「と、トキくん……っ」
俺から脱出しようと、一生懸命にあがく倉掛さん。
でも、そんな彼女を更に腕の中でキツく抱きしめた。
ギュッ
「行かないで……」
「っ!」
「倉掛さん、ここにいて……」