寡黙なトキくんの甘い溺愛
「さっき、砂那は俺に聞いたよね。どうしてアオとの試合に出たいのかって。それはね」
「う、ん……」
「それは……」
「……っ」
トキくんは言葉数が少ないものの、その表情は忙しすぎるくらいに、色んな感情が現れていた。
そしてトキくん自身が、その感情をさばけていないような……トキくんさえも戸惑っているような、そんな雰囲気。
本人さえも凌駕してしまう、熱量。もしそれが、私への恋心なら……私は、一体どうなってしまうんだろう。その熱に触れた瞬間、トキくんの熱に溶かされるかもしれない――
「(って、何思ってるんだろう、私……っ)」
のぼせた頭は、ついには訳の分からない事を思い始めた。
あぁダメ。私、完璧に舞い上がっちゃってる。ダメダメ、しっかりして……っ。
すると、ふいにトキくんが私を見た。その時の私の顔は、きっとトキくんと同じくらい、収集つかない表情をしていたと思う。