寡黙なトキくんの甘い溺愛

おずおずと聞くと「そりゃね」としずかちゃん。うぅ、やっぱり、そうだよね……。



「砂那はね、とりあえず自信がないのがね……。新オリの時だって化粧がめちゃくちゃ可愛いのに、私にはやっぱり似合わないって、新オリが終わった途端、いつもの砂那に戻っちゃって。あれで肩を落とした男子を、私は何人も知っている」

「そんな、大げさだよ~」

「そんなことないってば。ほら、そういうところ!自分を卑下しない!」

「ぅッ……!」


ビシッと指をさされて、私は食べていたおにぎりが、思わず喉に詰まりそうになる。だけど、なんとか噛むことが出来てほっとする。そして安心したと同時に……しずかちゃんは、あの話題を持ち出した。



「大橋にもさ、返事はまだなんでしょ?」

「うん、まだ……」



そう。新オリの時に告白してくれた大橋くん。長い時間が経とうとしているのに、私はまだ返事を出来ないでいた。

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