寡黙なトキくんの甘い溺愛
「大橋くんに、どういったら傷つかないかなって……それを考えてたら、考えるだけ、悩んじゃって」
「……はあ?」
今までで一番の呆れた声を出したしずかちゃんは「そんなこと」と言ってため息をついた。そんなこと――で済ませるしずかちゃんを、少しモヤッともしたし、聞いてみたいとも思った。しずかちゃんなら、どういって断るのかを。
「しずかちゃんなら、なんてお返事をするの?」
「ごめん好きな人がいるから――それだけ」
「そ、それだけ……?」
「むしろ、他に何かある?」
しずかちゃんは、短い髪をポリポリと書いて、やっぱり呆れた声を出した。「まさかそんな事で返事を保留にされてるとは、大橋も思わないだろうね」と痛いところをつきながら。
「そ、そんな事って……」
「そんなこと、だよ」
ビシッと言ってのけるしずかちゃんに、私は黙らされる。