寡黙なトキくんの甘い溺愛
「……っ」
急に自分が恥ずかしくなって、下を向く。大橋くんは、こんな私の、一体どこを好きになってくれたんだろう。自分自身でも分からない。自分の良さが、見えてこない。深い沼の中に、私がボチャンと浸かっている気がした。私は、何もかもが不透明だ。
「砂那……これから、どうするの?」
「うん……大橋くんに謝る。そして、返事をしようと思う」
「うん。それがいいよ」
しずかちゃんは、お弁当を完食したのか、蓋を閉めて袋に入れた。私は三分の一ほど残っていたけど、もう喉を通りそうにないので、しずかちゃんに倣って蓋を閉める。
「ねえ、砂那。私のこと、怒っていいんだよ?」
「え、なんで……?」
「だって、こんなに友達の心を傷つける人……そばにいてほしくないでしょ?」