キミの次に愛してる【BL】


「ただいま」

 いつものように、仕事から帰った義兄はキッチンにいる僕に笑顔で声をかける。

 そうして和室に行ってから、自室に入る。

 ――姉さんに手を合わせてから、あの、見合い写真のある自室に行くんだ……。

 そう考えて、自嘲気味に笑ってしまう。

 姉さんに託けて、嫉妬してる自分を誤魔化そうとしているのだ。

「バカ……みたい……」

 独りポツリと呟いた僕の声は、とても空しくキッチンの床に落ちていった。





「今日の晩御飯は何かなぁ?」

 着替えてリビングに戻ってきた裕文さんが、呑気に問いかけてくる。

「今日はしょうが焼きと、ポテトサラダ。豆腐の味噌汁……」

 僕の沈んだ声にも気付かずに、裕文さんは「やった!」とご機嫌だ。

「浩次君のポテトサラダは美味しいからなぁ」

「そんな事……ないですよ……」

 口先だけで返事をしながら、なんとも言えない、苛立ちだけが心に溜まっていく。

 それは重くて。息苦しささえ感じてしまう。



 ――言っちゃ、ダメだ……。



 解っていたのに。

 僕の口は、親の言う事を聞かない駄々っ子のように、勝手に声を発していた。

「お義兄さん」

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