文字だけの彼女。

始まりの音。

突然スマフォの通知が、珍しく今日は鳴り続ける。
いつもなら通知さえも来ないスマフォなのに。

面倒だと思いながらも…
確認してみると、尋常ではない数の通知。

何事かと思い一つ一つ確認してみると
流行りの友達申請だった。

最初は適当に気の向くままに
直感で承認や却下をしていたが…
面倒になり途中で投げ出した。

そして適当に認証した人達の投稿を見てみると
出会い目的や副業勧誘…
うんざりするロマンス詐欺。

私には面倒な人達に見え
失礼ながらもそっとブロックしていった。




そこに直感で気になる人が居た。




ごく普通のコメントなのに
何故か気になる。

ここから私の世界は色づき始めたのかもしれない。





色色付きを感じたと同時に私は絶望した。

その人のプロフィールページを見ると
既婚者だった。

そっと、私の心の中に入り込んだ
あたたかい光が遮られた気がした。

光を感じたと同時に私は絶望した。
その人のプロフィールページを見ると既婚者だった。

そっと、私の心の中に入り込んだ
あたたかい光が遮られた気がした。

どんどんと色んな感情が回り始める。

でもスマフォでの
メッセージやコメントは止まらない。

一度乗ったら止まらない
ジェットコースターの様な感覚。

自分でも抑えきれない気持ちが溢れ出て
どんどん深みにハマる私と女好きな彼。


遊びで擬似恋愛だと自分に言い聞かせながらも
私の中の本当のワタシは
切なくて苦しくて、でも虜になってしまった。

普段なら絶対に教えないラインを
その日に迂闊にも交換してしまった。

もっと知りたくて。
もっともっと知りたくて。


道徳やら世間体やら
もうその時は、どうでも良いくらいに
彼に酔いしれて麻痺していたのであろう。


それからは、毎日のように朝から夜まで
時間の許す限り連絡を取り合った。

まるで、恋人のように…。

でも時々、私が浮かれていると

「僕、結婚してるし。」と
現実を突きつけられる。



分かってる。
分かってる。
分かってる。



彼女になんかなれないのも、全部。
分かって好きになったんだから。

会いたい気持ちが
芽生えて来てもグッと堪えて…

文字だけの関係でも良いから
今はこの恋に、浸りたかった。


そして毎日のセルフィーの写真交換だけが
彼を感じれる時だった。

彼の色んな表情を見ていると
恋愛感情もどんどん増していき
私の中で好きが爆発する。

だが、引っ込み思案で物分りのいい子を演じる為に
「会いたい。」の一言が言えずにいた。


そんな時に、珍しく彼から敬語でLINEが来た。
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