闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「ええ。私は彼と仕事上のパートナーだったの。そのまま人生のパートナーになりたかったけれど、“唯一”を見つけたって言って振られちゃった」

「そんな……」


 明るく笑顔を見せて話す久島先生だけれど、どこか物悲しさを感じる。

 きっとまだ失恋の痛みは残ってるってことなんだろう。

 でも、失恋の原因となった“唯一”と同じ存在である私が何か言っても嫌味になりそうで……それ以上何も言えなかった。


「あ、ごめんなさいね? 気にしないで頂戴。仕方のないことだし、失恋なんて誰にでもあることなんだから」


 だから少ししんみりした空気を感じ取った様子の久島先生の言葉に、「……はい」としか返せなかった。
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