闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「分かったから、早くして!」


 そして心配そうに私を見た。

 ああ……櫂人と同じ目だ。

 色は少し違うけれど、同じ形の切れ長な目。

 優しく慈しみに溢れた眼差しは、より女性らしい感じだけれど。

 本当に、私はどうして今まで真人さんが女性だと気付かなかったのか……。


 どんどん熱くなる体に息が上がる。

 足に力が入らなくなると、肩に置かれていた手にガシリと掴まれて無理やり立たされた。


「順調に変化していってるね。ヴァンピールになるまであと十数分というところか」


 冷静に見定める大橋さんに怒りが湧く。

 でも、私にはもう睨みつける力もなくて……。
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