闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 安心しながら校門を通ったとき、ふと昨日のことを思い出した。

 昨日の朝、ここで別れたっきり会っていない櫂人先輩。

 遅刻せずに済んで良かったけれど、彼に会えないのは寂しいかなと思ってしまう。

 でもすぐに頭を振ってその思いをはじき出した。


「ダメダメ! クラスメートと仲良くするためには櫂人先輩とは関わらない方がいいって昨日思ったばかりじゃない!」


 櫂人先輩に惹かれてしまうのはもう仕方ない。

 怖いと思ったのに、それでも関わりたくないなんて思えないんだもの。

 気になってしまうのはもうどうしようもないだろう。

 でも、だからと言ってこれが恋なのかはよく分からない。

 怖いもの見たさみたいなのと同じで、怖いけれどだからこそ気になるというやつなのかもしれないし。
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