彩りの日々
平凡による目線
早起きは三文の徳だなんて、そんな言葉を信じているわけではないけれど。

私の朝は早い。


実家より少し駅に近い家で一人暮らしを始めたので、本当ならもう少し寝坊しても問題はないものの、今日もそのいい事が起きますようにと思いながら会社に行く準備をする。

寝起きでだるい体を起こして、寝ぼけ眼を擦りながらスマホを確認した。
朝ごはんの準備とお弁当を詰めて、身だしなみを整える。

毎日のルーティンだからそこまでめかしこむわけではないが、今日も会えるかもしれないから、ほんの少しの期待を込めて。
ちょっとでも可愛く見えればいいのに、と鏡の中の自分に向かって微笑む。

私は今年で二十七になる。
可愛いなんていう歳でもないということはわかっているけど、いくつになっても可愛くいたいと思うのが女心というものだろう。

とはいっても、自分はどこをとっても平凡そのもので特にぱっとしない顔立ちだという現実もハッキリとわかっている。
くせ毛でまとまりづらい髪の毛だけにはいつも不満はあるものの、これはもうこれでいいかと。
ないものねだりをしても仕方がない。
平凡でも平穏に。

そういう私の人生観には合っていると思っているし、人によっては結構愛嬌があるとも言われる顔なので。
それでまあ良しとしている。



決まった時間に起きて、決まった時間に準備をして、そうして決まった時間に家を出る。



これが私の愛すべき平凡平穏な平日のルーティンだ。

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