【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「では私は車の方でお待ちしております」

 軽く会釈をしながら私の横を通り過ぎた菅野さん。

 何だろう、そんなちょっとした仕草に凄く惹きつけられると言うか。
 洗練された様な動きについつい目が行ってしまう。


 本当、素敵な老紳士だ。


 少し見惚れてしまってからハッとする。
 早く荷物持ってこなくちゃ。

 そうしてガチャリとドアを開け中に入ると、まだ玄関に居たらしいお母さんに「ただいま」と声を掛ける。

「あ、お帰り聖良。何だか大変なことになってるわね?」

「うん。でもさっき愛良から電話もあったし、とりあえず大丈夫そう」

 少し心配顔のお母さんにさっきの電話のことを伝えると、ホッと安心した表情になった。


「はじめは護衛とか大げさなんじゃないかと思ったけれど、いてくれて助かったわ」

 菅野さんに詳しい話を聞いたんだろうか。

 そう言ったお母さんは「早めの引っ越しも納得ね」と頷いている。


「バタバタして忙しいだろうけど、あなたも早く荷物の準備しちゃいなさいね」

「うん、分かってる」

 そうして私は二階に行って荷物の最終確認を始めた。


「はぁ……。えっと、大体は詰め込んだから後は洗顔とか充電器とかかな?」

 呟きながら次々と足りない物を詰め込んでいく。


「愛良のも準備しておいた方が良いかな?」

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