【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

吸血鬼の花嫁

 私と愛良を乗せた車は市街地を通り過ぎて山の中に入って行った。

 舗装はされているけれど、車が二台通れるかどうかってくらい狭い道も多い。


「……本当に山の中なんですね」

 ポツリと愛良が漏らした。

 独り言の様なそれに明るく返したのは助手席に座っていた津島先輩。

「まあな。でも学園がある場所は開けてるし、生活に困らない程度の施設や店はあるから不便さはあんまり感じないぜ?」

 後部座席に座っている私達を軽く振り返って得意げに笑う。
 そうするとますます年下っぽく見える。

 いっそわざと可愛い年下の少年に見える様に振舞ってるんじゃないかとさえ思えてしまう。


 ちなみに零士や俊君達は愛良を家に送り届けた後、一足先に帰ったそうだ。
 ま、車にそんな何人も乗れないしね。


「施設や店ってどんなのがあるんですか?」

 黙っているとまた考え込みそうになるのか、愛良は会話に飛びつく。

 でも私もどんな施設があるのかは気になった。


「学園内は基本的に他の学校と変わりないけどな。そことは別に商業施設っていうか……デパートだな、あれは。コンビニ、衣類、食品とか。一通りの店舗が入ってる建物があるんだ」

「……えっと、まさかとは思うけど……それは学園の生徒達のためだけに作られた施設だったりするんですか?」

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