【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「えっと、つまり……。あたしが赤井家に関わりのあるこの五人の中の一人と結婚すれば守ってもらえて安全だってことですか?」

 愛良は腹を立てるより先に現状把握を優先したらしい。

 田神先生の言葉を彼女なりにまとめてみて聞き返していた。


「簡単に言うとそういう事だね。この五人は立場や年齢を考慮して君の相手として問題無い様選抜されたんだ。この五人から選んで貰えると一番丸く収まる」

「そうですか……」

 そう言ってまた考え込む様に黙る愛良。


 取り敢えず、何でこの五人なのかは分かった。

 愛良を狙う側なのに守ってくれる理由も分かった。


 結婚相手を勝手に絞られるのはやっぱり納得いかないけれど、少なくとも今まで通りちゃんと愛良を守ってくれるんだろう。

 その事には一先ず安心する。


 信じる信じないは後回しにして、これで愛良が何故強制的に城山学園へ転入なんて話になったのかは分かった。

 一番の疑問が解消されたので、私は目の前のお茶を飲んで一息つく。


 まだ色々聞きたいことはあったと思うけれど、吸血鬼とかハンターとか花嫁とか。消化しきれない話題ばかりで他の疑問にまで頭が回らない。

 とりあえずは与えられた情報が真実かとか、信じてもいいことなのかとか判断する方を優先したい。


< 145 / 741 >

この作品をシェア

pagetop