【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 そんな風に考えていると、今まで黙っていた津島先輩が私に声を掛けてきた。

「聖良ちゃん? なーに他人事みたいな顔してるのかな?」
「へ?」

 顔を上げてみると、呆れたような表情や面白がっているような表情でみんなが私を見ていた。

 え? 何? どういうこと?

 大事な妹のことだもん。他人事だなんて思ってないんだけど……?


 津島先輩の言っている意味が分からなくて(いぶか)しんでいると、零士が呆れを含んだ溜息を盛大に吐いた。


 何それ⁉ その溜息、明らかにバカにしてるよね⁉
 しかも溜息吐くだけで説明無しって、確実に(あざけ)ってるよね⁉


 ものすっごく腹は立ったけど、他のみんなの視線が気になって怒りを爆発させている場合じゃなかった。

 何だか哀れみとか、本当に気付いてないのか? って様子の視線も感じる。


 え? 本当に何なの?


「あー……。気付いて無いようだからちゃんと言わせてもらうよ?」

 田神先生が代表する様に切り出した。

 分からないから説明は欲しいけど、本当に何に気付いて無いっていうんだろうか?


「愛良さん程ではないにしても、君も吸血鬼に狙われる要素があるんだよ」

「え?」

「じゃなかったら、君の転入まで推し進めないよ」

「え? でも、だって……」


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