【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 その言葉を聞いた赤井は愕然とした表情を見せ、田神さんは“ほらな?”と言うように赤井に視線を送る。

 その様子に赤井が掛けたという催眠は失敗したのだと思った。


 でも、愛良の転入理由について信じ切れていなかったはずのお母さんが何故かあっさり納得している。

 少しは催眠が掛かっているという事なんだろうか?


 赤井と田神さんの会話の意味がよく分からないけど、とりあえずお母さんが喜んで愛良を差し出すようなことにならなくて良かった。


 お母さんは愛良に向き直り、真剣に問いかける。

「愛良、転校は決定だって話だけれど、愛良はどうしたい?」

 そんなの決まってる。
 さっきと答えは変わらないよ。

「それでも嫌だよ。そんな訳の分からない学園、一人でなんて行きたくない」

 そうそう、その通りだよ!


 愛良の言葉を後押しするように、私は愛良の近くに行ってその腕を抱くように組んだ。

「そうだよ! 愛良を一人で行かせられるわけないでしょ? どうしてもって言うなら私も一緒に行くから!?」
「うんうん、お姉ちゃんも一緒じゃなきゃ絶対行かないからね!」

 二人でそう宣言する。


 かなり特殊なところらしい城山学園。
 特別な人しか入れないというなら、平凡な私なんて入れるわけがない。


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