【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 V生なら、男女関係なくその視線を向けられた。

 若干男の方が強いかもしれない。


 これが、吸血鬼が私と愛良に向ける感情だと嫌でも理解する。

 危険度が増したという高峰先生の言葉が実感出来てしまった。


 その時はすぐに嘉輪が私達の前に出て、周囲をひと睨みしてくれたから視線は逸れて行ったけれど……。


 護衛が絶対に必要だと言う田神先生の言葉を無視するわけにはいかないんだなって思った。

 今までは半信半疑だった狙われているという言葉。

 それが、こんなに突然思い知ることになるなんて……。


 そんな状態だから昨日は温泉にも入りに行けなかった。

 こんな日こそゆっくり温まりたかったのに。

 まあ、無理なことは思い知ったから文句も言わず了承したけれど。



 そんなことを思い返しながらシャワーを浴び終える。

 シャワーを止めると、備え付けられた鏡に裸の上半身が映った。


「……早く、消さなきゃ」

 首筋に二つ並んだ赤い痣。

 ただの咬まれた痕だと分かってはいるけれど……。


『でも忘れんなよ? お前の血を初めて飲んだのは俺だってことをな』

 耳に残るあの声が、これは所有印だとでも言っているかのようだった。


 昨日シャワーを浴びた後、痣がすぐに消える方法を検索しては試していった。

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