【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「あ、はい」

 短く返事をして数十分前のことを思い出す。


 愛良は瑠希ちゃんや嘉輪と温泉に行った。

 もちろんいつもは私も一緒に行ってるから、「お姉ちゃん行かないの⁉」ってすごく驚かれたけれど。

 月のものだって嘘をついて誤魔化した。


 弓月先輩は私が何か言わなくてもそういう風に察してくれたのか、私だけ温泉に行かなかったことに対してはそれ以上突っ込んで聞かれずにすむ。

「……」
「……」

 でも別れて歩き出そうとするわけでもなく黙り、私もどうしていいのか分からずただ黙った。


 何か話した方がいいのかな……?
 でもすぐに丁度いい話題なんて思いつかない。

 ここは私の方が断りを入れて別れるところなのかな?

 そう思い始めた頃、弓月先輩がポツリと言葉を口にした。


「ねぇ、聖良さん。……あなた今幸せ?」

「え?」

「私達H生は色んな意味であなたを振り回しちゃったから……」

「弓月先輩……」


 やっぱり、というか。
 責任感の強い弓月先輩は当然のように気にしていた。

「……弓月先輩のせいじゃないですよ?」

 一番酷いことをされたのは、一部のH生男子だ。

 弓月先輩がそこまで気に病むことじゃないと思う。


 でも責任感が強いからこそ、私が許しても自分で自分が許せないんだろう。

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