【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
8.始祖の再来

平和なひととき

 …………。

 また夢だ。

 私の中にある欠けた球体。

 愛良に似た女の子にもらったもの。


 それは飴玉の様に溶けていき、私の一部になっていく。

 これは何なんだろう、とはもう思わない。


 だって、多分私はもうこれが何なのか知っている。

 あの女の子が何者だったのかも。


 この球体が溶け切ってしまったら、どうなってしまうのかだけが分からない。

 怖くないと言えば嘘になる。

 でも、あの女の子は笑顔で渡してくれた。

 だから、多分大丈夫。


 そんな理由の無い確信があった。


 もう半分以上小さくなっている欠けた球体。

 溶けきるのは、あと少し……。


***

 パーティーは年明けと聞いていたけれど、明けてすぐというわけじゃなかったらしい。


 年末年始はどこの家も家族や親族で過ごす。

 それは吸血鬼でも変わらない。


 そのためパーティーは年が明けて冬休みも終わってから準備を始めるのだとか。

 だからパーティー自体は1月の末辺りになるらしい。


 そういうわけで、年末年始は思ったより平和に過ごすことが出来た。


 クリスマスは寮で結構大掛かりなパーティーが開催されていたし、冬休みに入ると久しぶりに家に帰ることも出来た。

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